(コラム)

経営情報システム(MIS)高度化とデータの利活用

グループ・グローバルベースでの戦略立案やお客さまニーズ・業務環境変化への迅速かつ高度な対応の推進、国際金融規制強化に伴い経営実態を速やかに把握・報告する必要性の高まりなどを背景に、中期経営計画(2014~2016年度)において経営情報システム(MIS:Management Information System)高度化が取り上げられた。これを受け、三井住友銀行は2015年4月、「MIS高度化プロジェクトチーム」を設置し、多面的な経営情報(管理会計、財務会計、リスク管理)を迅速に把握するためのシステム基盤構築に向けた検討を進めた。

2017年10月、三井住友銀行はグループ・グローバルベースのデータを集約可能な大規模データベースシステムとしてMISをリリースした。MIS高度化に際しては、①大量データを高速に処理可能なビッグデータ基盤の整備と、②ユーザーによる効率的なデータ利活用(集計・分析・報告等)を進めるツール環境の整備を併せて実施し、その後も、データ範囲やツール(経営ダッシュボード等)の拡充を進め、MISを用いたデータの利活用を効率的・効果的に推進した。

MIS高度化の過程で、当社グループ内の各種データ・情報の整備や、データを用いた経営管理の高度化、分析の推進など「データ利活用の強化」、そして、データ品質の管理、データ利活用人材の育成などの「データガバナンスの強化」を進める体制の必要性が論じられた。そこで、当社および三井住友銀行は2016年4月、MIS高度化プロジェクトチームやシステム統括部情報活用推進室を母体として、データマネジメント部をそれぞれ新設した。

データマネジメント部による「データ利活用の強化」に向けた取り組みとしては、グループベースでの名寄せによる顧客データの整備に加え、AI自動分析システムの導入によるデータ分析プロセスの改善を通じて、グループ全体でのデータ利活用を推進している。その一例として、三井住友銀行では、AIを活用した個人のお客さまの運用ニーズ予測などに取り組み、運用提案にAIが分析した基準を加えることで営業活動の高度化・効率化を実現した。また、最先端技術を駆使した高度な分析に強みを持つ日本総合研究所の「先端技術ラボ」との連携も強化し、データ分析の高度化を進めている。

「データガバナンスの強化」の取り組みとしては、当社は2017年10月、経営状況の把握や経営判断に用いる経営情報のあり方やその管理の基本方針について定めた「経営情報管理規程」を重要規程として制定し、「リスクデータ管理規程」を統合した。さらに2019年4月、リスク統括部が所管していた「リスクデータ諸原則」に関する二線機能をデータマネジメント部へ移管し、リスク報告作成に対するデータ統制の独立性の確保に取り組んだ。

データマネジメント部はまた、データ利活用のスペシャリストであるデータサイエンティストの育成に向けた研修・イベントを開催するなど、データ利活用人材の育成にも積極的に取り組んでいる。2021年1月には、「第1回SMBCグループ横断データ分析コンテスト」を開催し、グループ各社からの参加者約200人が所定の課題・データに対する分析の精度を競い合い、データ分析スキルの向上につなげた。

(写真)表彰状を手渡されるコンテスト受賞者
第1回SMBCグループ横断データ分析コンテスト表彰式(2021年2月)