三井住友DSアセットマネジメントの沿革
三井住友DSアセットマネジメントの源流を探ると、11社の投資顧問会社ないしは投資信託委託会社に遡ることができる。そのうちの大部分が1985年から1986年にかけて設立された銀行系、生損保系の投資顧問会社であった。その背景には、わが国企業や家計の金融資産の増大と資産運用の複雑化、高度化、さらには、中東のオイルマネーや米国の企業年金等による国際分散投資の拡大を背景に、投資顧問会社に対するニーズが高まっていたことがあった。また、1984年8月に投資ジャーナル事件(注7)が摘発されたことを契機に、大蔵省が1984年12月に証券取引審議会に投資顧問業(注8)に対する規制の検討を諮問(最終的に1986年5月に投資顧問業を登録制とする投資顧問業法(注9)が成立)したことも、投資顧問会社の設立を後押しすることとなった(注10)。
2001年11月、住友生命保険、三井住友銀行、三井住友海上火災保険、三井生命保険(現大樹生命保険)の4社は保険事業強化に向けた全面提携に合意した。その提携の成果の第一弾として2002年12月、「三井生命グローバルアセットマネジメント株式会社」(注11)、「住友ライフ・インベストメント株式会社」(注12)、「スミセイグローバル投信株式会社」(注13)、「三井住友海上アセットマネジメント株式会社」(注14)、「さくら投信投資顧問株式会社」(注15)の5社が合併し、「三井住友アセットマネジメント株式会社」が誕生した(出資比率:住友生命保険35%、三井生命保険<現大樹生命保険>30%、三井住友銀行17.5%、三井住友海上火災保険17.5%)。2002年3月末時点で5社合計の投資顧問受託残高は業界首位、投資信託純資産残高は業界第13位に相当した。合併時の基本コンセプトとして、①三井・住友グループ保険各社、三井住友銀行の運用会社としてグローバルな競合他社に伍していけるトップクラスの運用会社、②顧客満足度の高い最高品質の商品・サービスを提供できる運用会社、③合併5社およびその親会社各々の強み・特徴を活かせる運用会社、④株主利益の増大が挙げられた。
2013年4月には規模拡大を目指し、千代田火災投資顧問を源流とする「トヨタアセットマネジメント株式会社」と合併した。トヨタアセットマネジメントの資産運用残高は三井住友アセットマネジメントの1割程度ながら、中京圏に強く、地域的な補完効果が大きかった。その後、三井住友アセットマネジメントの既存株主と三井住友フィナンシャルグループ(当社)との話し合いが行われ、最終的に当社が三井住友アセットマネジメントを連結子会社化することとなった。まず、三井住友銀行が2016年7月、住友生命保険、三井住友海上火災保険、三井生命保険(現大樹生命保険)より三井住友アセットマネジメントの株式20%相当分を取得し、連結子会社とした。2016年10月には、当社が三井住友銀行より三井住友アセットマネジメントの株式を取得し、当社の直接出資子会社とした(出資比率:当社60%、住友生命保険20%、三井住友海上火災保険20%)。
一方、当社の持分法適用会社だった大和住銀投信投資顧問の源流は、1973年6月設立の「大和投資顧問株式会社」と1985年10月設立の「住銀バンカース投資顧問株式会社」まで遡る。住銀バンカース投資顧問は1990年11月、住友銀行グループが米国のバンカース・トラストの所有株式を全株譲り受けたことに伴い、「住銀投資顧問株式会社」と改称し、年金運用業務に注力した。また、1993年9月には、住銀投資顧問を設立母体として、「エス・ビー・アイ・エム投信株式会社」を設立し、投資信託委託業務に従事した。
1999年4月、住友銀行と大和証券の戦略的提携の一環として、大和投資顧問と住銀投資顧問、エス・ビー・アイ・エム投信の3社が合併し、「大和住銀投信投資顧問株式会社」が誕生した。3社の運用経験に加え、新たに資本参加したT・ロウ・プライスとの業務提携により、グローバルな運用力を高めることとした(出資比率:大和証券グループ44%、住友銀行グループ44%、ティーアールピーエイチコーポレーション10%、住友信託銀行2%)。
2019年4月、三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問が合併し、「三井住友DSアセットマネジメント株式会社」が誕生した。これにより投資顧問事業と投資信託事業の双方の業務基盤を強化し、国内有数の業務基盤を有することとなった。

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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに