(2)不動産ビジネス
三井住友銀行は2020年3月、100%出資のREIT(注49)(リート)運用子会社である「株式会社SMBCリートマネジメント」を設立した。そのうえで、12月にはSMBCグループ初の総合型私募リート(投資対象を特定の不動産に絞らない)「SMBCプライベート投資法人」を立ち上げ、2021年3月から資産運用規模約170億円で運用を開始した。
三井住友銀行がREITビジネスに本格的に参入した背景には、第一に、オルタナティブ資産(注50)としての不動産は市場規模・ディールフロー共に大きく、関連ビジネスを含めさらなる拡大が期待できたことがあった。第二にSMBCグループの不動産バリューチェーンでは、全てのアセットタイプを対象とする総合型リート機能が不足していたことがあった。
総合型リート機能を持つことで投資家に対しては、SMBCグループのお客さま基盤を活かした不動産投資機会を提供できるとともに、事業会社に対しては、長期・安定的な不動産の受け皿機能を提供することが可能となる(保有不動産のオフバランスニーズ、有効活用・開発ニーズへの対応力向上)。同時にSMBCグループにおける、不動産アセットマネジメント(AM)報酬(注51)・仲介手数料・エクイティ私募取扱業務の拡大、SMFLみらいパートナーズ(不動産・環境エネルギー・地方創生・社会インフラ・ヘルスケア等の新たなサービスに取り組む三井住友ファイナンス&リースの戦略子会社)によるエクスポージャー管理手法の多様化につながることが期待された。
私募リート立ち上げ当初は、三井住友銀行の保有物件中心に組み入れ、その後はSMBCグループのお客さま、SMFLみらいパートナーズやSMBC 信託銀行といった不動産ファイナンスのネットワークを起点に相対による適時・適切な価格での物件組み入れを重視し、資産規模の拡大・成長スピードにこだわらない投資スタンスで運営することとした。2023年度までにREIT資産規模1,000億円を目指している。

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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに