(6)環境・社会リスクを踏まえた融資方針の見直し

三井住友銀行は、与信業務の普遍的かつ基本的な理念・指針・規範等を明示した「クレジットポリシー」において、公共性・社会性の観点から問題となる融資を行わないという基本原則とともに、地球環境に著しく悪影響を与える懸念のある融資を行わないことを定めている。また、環境・社会に多大な影響を与える可能性がある大規模プロジェクトへの融資においては、民間金融機関の環境・社会配慮基準である「エクエーター原則」(赤道原則)(注32)を2006年1月に採択し、環境・社会リスク評価を実施してきた。

2015年9月の国連サミットにおける「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の採択や2015年12月のパリ協定採択以降、国際的な金融機関に対する持続可能な社会の実現に向けた取り組み要請が一段と強まるなか、三井住友銀行は2018年6月、気候変動などの環境影響、人権などの社会的な影響に鑑み、石炭火力発電所、パーム油農園開発および森林伐採について事業別の融資方針を制定し、適用を開始したことを公表した。2020年5月には、石炭火力発電事業をはじめとする環境・社会に大きな影響を与える可能性が高い事業・セクターに対して、①融資方針のさらなる厳格化と、②管理手続きの見直しを実施した。これらの融資方針は、SMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース、SMBC日興証券においても、それぞれのビジネスに沿う形で導入することとした。

また、気候変動に対する危機意識が世界的に強まるなか、当社は2021年5月、気候変動問題への対策強化を表明した。その中で、石炭火力発電所の新設および拡張案件への支援を行わない方針(2021年6月より運用開始)を公表するとともに、アクションプランの一環としてSMBCグループの投融資ポートフォリオにおける温室効果ガス排出量の把握とその中長期目標の設定を進めていくことを表明した(注33)