6. グローバル・プレーヤーに相応しい経営基盤の強化
SMBCグループのグローバル・ビジネスの拡大に伴い、ガバナンス、リスク管理、コンプライアンス、事務・システムなどの面において、「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs:Global Systemically Important Banks)」に相応しい経営基盤の整備を継続した。
(1)ガバナンス・リスク管理・コンプライアンス態勢の強化
2017年4月、SMBCグループの事業部門制導入に伴い、国際事業部門長がグループ横断的に国際事業部門を統括することとなった(注32)。また、各当社地域本部が担当地域に関わる当社連結ベースの業務推進・管理を行うこととした。これにより、グループ一体的な戦略遂行に伴う業務シナジーの追求とグループ・グローバルベースのガバナンスの強化やリスク管理などの効率化が可能となった。
リスク管理面では、2016年度に定めた三井住友銀行の国際部門のリスクアペタイト・フレームワーク(RAF)をグループベースに拡張し、2017年度以降、国際事業部門としてRAFを運営することとした(注33)。2017年4月には当社国際企画部内に「グローバルポートフォリオ戦略企画室」を設置し、三井住友ファイナンス&リースの海外拠点、SMBC信託銀行を含めた外貨ポートフォリオ運営を一体運営・管理して、ボトムライン収益の極大化とROE向上に資するアセットアロケーションの実現を目指した。また、有事の際は機動的にアセットをコントロールして流動性を確保する体制とした。
海外におけるSMBCグループの業容拡大に伴い、当社のガバナンスやコンプライアンス、リスク管理態勢に対する各国監督当局の期待値が高まるとともに、コンダクトリスク管理やマネー・ローンダリング、テロ資金供与対策等に対する当局の目線自体も大幅に高まった(注34)。そうしたなか、三井住友銀行と米国ニューヨーク連邦準備銀行(以下、ニューヨーク連銀)は2019年4月、三井住友銀行ニューヨーク支店におけるマネー・ローンダリング防止に関する内部管理態勢などが不十分であるとのニューヨーク連銀の指摘に関し、改善措置を講じることで合意した(Written Agreement)。三井住友銀行は2007年1月にも同様の指摘を受けていた。その後、世界金融危機を経て、金融監督当局の目線が一段と高まっていたにも関わらず、対応が不十分であった。
当社は、ガバナンス強化のためにSMBCアメリカホールディングス会社(注35)の取締役会を米国におけるSMBCグループ全体の管理・監督を行う監督機関として位置づけ、社外取締役を増やし、監督態勢を強化した。また、コンプライアンス態勢強化のために2020年にかけて専門スタッフを大幅に増員するとともに、役職員に対する研修を継続的に実施した。
さらに当社は、グローバルバンクに相応しいガバナンス・コンプライアンス・リスク管理態勢強化に優先して取り組むため、「ベスト・プラクティスを踏まえた対応」「当局コミュニケーションの緊密化」「コンプライアンス・カルチャーの徹底」を基本方針に据えるとともに、海外におけるコンプライアンスやリスク管理、審査機能をいわゆる「3つの防衛線」の「二線」と明確に位置づけ、グループCCO(Chief Compliance Officer)やグループCRO(Chief Risk Officer)(注36)に直接レポートする形に改めた。三井住友銀行においては、2019年10月に米州コンプライアンス室の所管を国際部門からコンプライアンス部門に移管するとともに、2020年4月には欧州、アジア・大洋州の各コンプライアンス室の所管を国際部門からコンプライアンス部門に移管した。同時に米州、欧州、アジアの各リスク管理部、米州、欧州、アジア・大洋州、東アジアの各審査部および国際審査部の所管を、国際部門からリスク管理部門へ移管した(注37)。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに