(4)資本政策

当社の資本政策の基本方針は、中期経営計画(2020~2022年度)においても維持し、引き続き、①株主還元、②健全性、③成長投資をバランスよく実現し、持続的な株主価値の向上を目指すこととした。もっとも、前中期経営計画期間中に普通株式等Tier1比率が目標とする10%程度に到達したことを受けて、今後は「株主還元強化」と「成長投資」に資本を活用していく方向に軸足をシフトさせた。

株主還元(注2)については、累進的配当を基本とし、2022年度までに配当性向40%への引き上げを目指すこととした(注3)。自己株取得についても、引き続き機動的に実施することとしたものの、2020年度については実施を見送った。その背景には、新型コロナウイルス感染症が拡大するなかで、国内外のお客さまへの資金繰り支援が最優先課題であることや、クレジットコストの発生など、最終的なコロナ影響の見極めには、しばらく時間がかかると考えられたことに加えて、中期経営計画の財務目標達成に向けたトップライン増強や将来の成長につながる戦略・施策の推進のためにも資本を活用したいとの思いがあった。

図表3-5 「株主還元強化」と「成長投資」に資本を活用していく方向に軸足をシフト
(図表3-5)中期経営計画(2020~2022年度)における資本政策の基本方針

また、2020年5月、当社は中期経営計画(2020~2022年度)の公表に合わせて、2020年4月から2025年3月までの5年間で、政策保有株式を簿価ベースで3,000億円追加削減する計画を公表した。これまで当社は、2015年10月からの5年間で政策保有株式を5,000億円削減する計画を立て、実際に5,100億円の削減を達成した。さらなる削減には厳しさが予想されるものの、コーポレート・ガバナンス改革への不断の取り組みが期待される環境下、中長期的に政策保有株式の削減を進める方針に何ら変わりはなく、削減計画の達成に向けた取り組みを着実に継続していくこととした。

図表3-6 2020年4月から2025年3月までの5年間で、政策保有株式を簿価ベースで3,000億円追加削減する計画
(図表3-6)政策保有株式の新削減計画