(2)内部管理態勢の強化

日興コーディアル証券は、当社グループ入りに際し、総合証券会社としてのビジネスを支えるための内部管理態勢の整備・拡充に努めた。具体的には、当社および三井住友銀行の統合リスク管理の枠組みを適用するとともに、市場リスク管理の高度化やカウンターパーティ・リスク管理の強化などを通じて、ホールセール業務の強化に伴い増大するリスクを適切に管理する態勢を構築した。また、ホールセール・商品部門の拡大に対応するべく、利益相反管理やファイアーウォール規制、グローバルなリーガルリスクをはじめとするコンプライアンス態勢を整備した。さらに、日興コーディアル証券監査部による監査に加えて、三井住友銀行監査部が全部署を直接監査できる態勢を構築した。また、2011年度には、統括役員を置いて経営会議を設置し、少数の責任者で全社業務をカバーする態勢とした。

日興コーディアル証券が当社グループ入りしてから1年余り経過した2011年頃、内外においてコンプライアンス関連の各種不芳な事態が相次いだ。その背景には、業務拡大に際して内部管理態勢が追い付いていなかった、銀行からの出向者や中途採用者が一気に増加するなかでコンプライアンス意識が十分徹底されていなかったなどの事情があると考えられた。そこで、2011年半ば、海外規制の再確認やホールセール業務に関するコンプライアンス態勢の見直し、研修の強化等を実施した。

しかしながら2012年6月、三井住友銀行から出向していたSMBC日興証券の元執行役員が、インサイダー取引に関与した容疑で逮捕された。本件に関し、SMBC日興証券は2012年6月に調査委員会を立ち上げ、8月に委員会の報告書を踏まえて「調査委員会の調査報告書の公表と当社の対応について」を発表した。出向元であった三井住友銀行も事態を重く受け止め、再発防止に向けた法人関係情報管理の強化、研修の徹底等に努めた(注24)