(3)デジタルの活用
三井住友ファイナンス&リースは2019年4月、橘社長自ら「デジタル先進企業を目指す」と宣言(注71)したうえで、2020年度からの中期経営計画に「デジタルイノベーションの更なる推進・活用」を盛り込んだ。デジタル先進企業宣言のきっかけとなったのが、2019年1月のSMFLキャピタルの統合であった。SMFLキャピタルは、小口リースにおいて約30万社と取引があり、AIやRPA(注72)といったデジタル技術を駆使しての業務プロセスの自動化を進めていた。たとえば、「FAX自動仕分けプロジェクト」では、販売店との間の事務手続を全てデジタル化し、事務処理の圧倒的なスピードアップを実現していた(注73)。そこで、SMFLキャピタルのデジタル開発部隊を迎え入れ、現場を巻き込み地に足のついたデジタル化に取り組むこととした。
その結果として、2021年1月から実装したのが中小企業向け小口販売金融(ベンダーリース)事業におけるお客さまとのリース契約の電子化。三井住友ファイナンス&リースでは既にベンダーリース取引の申込みをWeb上で行い、先進的なデータサイエンスを用いた自動審査で取引の可否を判断するシステムを自社開発し導入していた。このデジタルソリューションをさらに進め、取引可能となった申込みについては電子契約サービス「SMBCクラウドサイン」を用いて電子的に契約を締結することとした。これにより、国内リース業界では初めて、リース申込みから与信判断、契約締結に至るまで、ベンダーリース取引における一連のプロセスをデジタル化することができた。同時に販売会社(サプライヤー)、ユーザー、三井住友ファイナンス&リースの三者間の一連のビジネスフローがデジタル化され、大幅なスピードアップと事務負担の軽減、コスト削減を実現することができた。

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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに