2.コーポレートガバナンスのさらなる強化

2017年度は、新体制の発足のみならず、当社およびSMBCグループのガバナンス面においても画期的な年となった。すなわち、当社の監査役会設置会社から指名委員会等設置会社への移行である。

当社は、これまでも監査役会設置会社として、専門知識や経験等のバックグラウンドが異なる多様な社外取締役の選任や、取締役会の機能が効果的かつ効率的に発揮できる適切な員数の維持などを通じ(注1)、適切なコーポレートガバナンス機能および意思決定の迅速化を確保してきた。しかし、取締役会の監督機能を強化することでガバナンスのさらなる高度化を図ることに加えて、グローバル金融グループ、とりわけ、より厳格な金融規制・監督の対象となる「グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs:Global Systemically Important Banks)」としては、海外で広く認知され、国際的な金融規制・監督とも親和性の高い機関形態である指名委員会等設置会社に移行したほうが、外国の機関投資家や海外当局との対話において得策との判断があった。

そこで、当社は2017年6月、定時株主総会における承認を得て指名委員会等設置会社に移行した(注2)。その際、会社法で設置が法定されている指名・報酬・監査の3委員会に加えて、任意の委員会としてリスク委員会を設置した(注3)(法定3委員会の委員長には社外取締役が就任(注4))。また、内部監査の独立性と客観性を担保するため、内部監査機能を監査委員会に直属させて取締役会の監督機能の強化を図った。さらに、経営の基本方針など、法令上取締役会の専決事項として定められている事項以外の業務執行の決定を原則として執行役(注5)に委任することとして、業務執行と監督の分離により取締役会の監督機能の一段の強化を図るとともに、業務執行の迅速化を図った。

図表2-1 取締役会とその内部委員会
(図表2-1)当社のコーポレートガバナンス体制(2021年7月時点)

ガバナンス体制の変更と併せて、当社は、2016年度より導入した「取締役会の実効性評価」(注6)に基づき、監督機能の発揮に資する議案の工夫や、社外取締役のみの会合や社外取締役を対象とした勉強会を開催するなどの取り組みを継続的に行うことで、取締役会の議論の一層の活性化を図った。

また、従来以上に株主目線を重視した経営を実現するため、当社の役員報酬制度も見直した。具体的には、2017年度より、中期経営計画の業績目標の達成状況や当社株式のパフォーマンス、お客さま満足度調査の結果等に連動する譲渡制限付株式を用いた株式報酬制度を導入した。これは、SMBCグループの短期・中長期の業績と役員報酬の連動性を高めて、業績に対する適切なインセンティブとして機能させるとともに、役員の株式保有を通じて株主との利益共有を進めることを狙いとした。同時に、財務諸表への重大な修正やレピュテーションへの重大な損害等が発生した場合には、譲渡制限期間中の減額・没収(マルス)や、譲渡制限解除後の返還請求(クローバック)を可能として、過度なリスクテイクを抑制する仕組みとした。

そのほか、当社は2018年8月、海外の政治・経済ならびにグローバルビジネスに精通した有識者(注7)を「SMBCグループ・グローバル・アドバイザー」として選任したうえで、グループ経営会議の諮問機関として「SMBCグループ・グローバル・アドバイザリー・ミーティング」を新設した。同月開催された第1回目の会合では、グローバルな潮流の変化、各地域の政治・経済情勢、金融ビジネスの動向等に関する情報とともに、今後SMBCグループとして留意すべきトップリスクや戦略立案に際しての環境認識等について提言・助言を得た。

(写真)SMBCグループ・グローバル・アドバイザーを迎えてディスカッションする経営陣
SMBCグループ・グローバル・アドバイザリー・ミーティングの模様(2019年5月)