(2)女性の活躍推進

当社グループがダイバーシティを推進していくうえで、とりわけ喫緊の課題として取り組んだのが、女性の活躍推進であった。三井住友銀行では、女性の活躍を推進するため、①育児と仕事の両立支援、②女性のキャリア形成支援、③企業風土の変革等に取り組んだ。具体的な取り組みは、以下の通り。

育児と仕事の両立支援

育児休業制度、短期育児休業制度、看護休暇制度、短時間勤務制度等の整備を行うとともに、従来からあった「産育休取得前研修」などに加え、育休中の「職場復帰サポート講座」、妊娠中の従業員向けの「プレママ研修」「パパママフォーラム」「ワーキングマザーミーティング」などの研修を創設し、育休明け後のスムーズな業務への復帰や家庭と仕事の両立を支援した。

女性のキャリア形成支援

女性役員輩出の土台をつくるため、2013年に、上位階層向けリーダーシップ研修として「ウィメンズリーダープログラム」を創設したほか、「次世代のSMBCを担う女性リーダー」を養成する目的で、課長・グループ長クラスの中堅基幹職を対象に「ウィメンズリーダープログラムNext」を実施した(図表11-6)。研修終了後、希望者には部店長クラスがメンターとなり、半年にわたりキャリア形成上の課題解決や悩みの解消を支援する制度(メンター制度)も導入した。若手・中堅クラスの女性従業員に対しても、自身のキャリアについて考え、先輩や同期とのネットワーキングやロールモデルを見つける機会の提供に加え、2013年度より毎年SMFG合同女性キャリアフォーラムを開催するなど、女性のキャリア形成支援のための重層的な仕組みづくりを進めた。

図表11-6 多岐にわたる女性のキャリアアップ支援制度
(図表11-6)女性のキャリアアップ支援制度(三井住友銀行)
(写真)円になってディスカッションする課長・グループ長クラスの女性従業員
ウィメンズリーダープログラムNext(2017年9月)
(写真)大ホールにおけるSMFG合同女性キャリアフォーラム
SMFG合同女性キャリアフォーラム(2019年1月)

企業風土の変革

女性が働きやすい環境や両立支援制度の充実は重要ながら、これらが活用されるためには「企業風土の変革」、とりわけ「男性管理職を中心とする意識改革」が不可欠であった。そこで三井住友銀行は、外部講師を招き、女性活躍推進の必要性や女性部下育成のポイントなどの理解促進を図る「(部店長向けの)ダイバーシティマネジメントセミナー」や「イクボス」(注15)式マネジメントの具体的な実践方法などを示す「イクボスセミナー」を開催して、男性管理職の意識改革を進めた。さらに、ダイバーシティ推進委員会委員長の頭取が、ダイバーシティの強力な推進に向けたメッセージを社内に発信し続けることで企業風土の変革を促した(注16)

このような取り組みの結果、結婚や出産後も就業を継続する女性従業員が増えるとともに、女性管理職比率も2017年度末で21.0%に達し、2014年5月に公表した「2020年度末に20%」という数値目標を前倒しで達成することができた。2016年3月、三井住友銀行は、厚生労働大臣より「子育てサポート企業」として高い水準の取り組みを行っている企業を評価する「プラチナくるみん」(注17)の認定を受けた。