(3)2012、13年度は過去最高益を更新
中期経営計画(2011~2013年度)期間中、当社グループは、国内においては、成長戦略プロジェクト等での検討を踏まえ、国内業務改革(注11)をはじめとする各種ビジネスモデルの変革に本格的に着手した。2012年4月には、プロミスを当社の完全子会社とするとともに、三井住友銀行とSMBC日興証券の間でリテール、ホールセール両面での連携を強化するなど、当社グループの拡充・連携強化を図った。一方、海外では、2012年6月、英国Royal Bank of Scotland Groupから航空機リース事業を買収するなど、海外ビジネスの再拡大を進めた。2013年5月には、三井住友銀行がインドネシアの中堅銀行Bank Tabungan Pensiunan Nasional(BTPN:バンク・タブンガン・ペンシウナン・ナショナル)に出資した。これにより、アジア新興国においてフルバンキングに参入し、中長期的に第2、第3のSMBCグループを育成するという「マルチフランチャイズ戦略」(注12)は、大きな一歩を踏み出した。
当初こそ厳しい外部環境ではあったが、内外経済の好転を背景に、当社の連結当期純利益は順調に拡大し、2012、13年度と2期連続で過去最高益を更新した。国内預貸金利ざやは縮小したものの、海外における資金利益や、国内における個人向け投資信託販売手数料や株式委託手数料等の役務取引等利益が増加したほか、景気回復を背景に信用コストが大幅に減少した(2013年度は戻り益も発生)。さらに、三井住友銀行の市場営業部門が、2012年秋以降の景気回復局面への移行を予想し、国債中心のオペレーションを株式関連の運用や為替に一部シフトさせ、投資信託解約益等が増加したことも増益に寄与した。
その結果、中期経営計画において設定した財務目標を、2014年3月末時点で、全項目において超過達成することができた。とりわけ、2014年3月末時点の普通株式等Tier1比率は、バーゼルⅢ完全実施基準で10.3%に達し、普通株式等Tier1比率8%程度という目標を大きく上回ることができた。

こうしたなかで、三井住友銀行は、これまでの不良債権処理の過程で積み上がった巨額の税務上の繰越欠損金を2012年度決算で解消するに至り、2001年4月の新銀行発足以降、初めて法人税を納付することができた。また、2014年の春季労使交渉において、1995年以来19年ぶりにベースアップ(0.5%)を実施し、賞与についても5%の増額(注13)とすることで従業員組合と妥結した。これらは、2期連続で過去最高益を更新したことを受けて、従業員の働きに報いるとともに、消費者物価の上昇や、さらなる経済の好循環実現に向けた政府の要請なども考慮した経営判断であった。
-
第1章不確実性が増す外部環境
-
第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
-
第3章「カラを、破ろう。」
-
第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
-
第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
-
第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
-
第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
-
第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
-
第9章アセットマネジメントビジネスの強化
-
第10章デジタル戦略の本格展開
-
第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
-
第12章業務インフラの高度化
-
第13章グループ経営を支える人事戦略
-
第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
-
第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに