(3)アジアにおける決済ビジネスの展開強化
三井住友銀行は、2003年度に日本を含むアジアにおいて、インターネットバンキングサービス「SMAR&TS」(注19)を提供して以来、新規のお客さまの獲得や決済性預金の捕捉、グローバルな商流の囲い込みの有力ツールとして機能強化を継続的に行ってきた。しかし、主要外銀の同種サービスと比較した場合、機能面での見劣りが依然として否めなかったことから、中期経営計画(2011~2013年度)において、「アジア地域のCMS で外銀トップ3」になることを掲げて積極的な投資を通じた機能の拡充を進めた。
2013年10月には、SMAR&TSのオプションサービスとして、企業本社が海外現地法人の口座残高や資金計画等を把握できるグローバル統合財務管理サービス「SMAR&TS Treasury」の取扱いを開始したほか、2018年3月には、SMAR&TSを全面リニューアルし、グローバル資金管理機能の強化や、利用可能なOS・ブラウザの拡大など、大幅なレベルアップを実施した。これにより、主要外銀と遜色のない機能レベル、操作性を備えることとなった。2019年3月には、SMAR&TS Treasuryの機能強化を実施し、統括会社と現地法人の二層管理だけでなく、本社や財務統括会社、地域統括会社、現地法人の三層管理が可能なシステムとし、海外地域財務統括を有する企業に対しても積極的に推進することが可能となった(図表9-4)。

2015年3月には、海外現地法人各社の資金過不足を調整してグループ全体の資金効率向上を図る「クロスボーダープーリング」の処理を自動化する「グローバルプーリングシステム(GPS:Global Pooling System)」をアジアにおいて導入し、以降、日本・欧米へと対象拠点を拡大した。

業務推進面においても、2015年4月、「アジア・大洋州トランザクションバンキング営業部」を設置し、トランザクション・ビジネス本部と緊密に協働しながら、アジア・大洋州地域の決済ビジネスの強化を図ることとした。2020年4月には、東アジア地域(除く中国)を所管地域に加えて、「アジアトランザクションバンキング営業部」と改称し、アジア一体での決済ビジネスの推進を強化した。
-
第1章不確実性が増す外部環境
-
第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
-
第3章「カラを、破ろう。」
-
第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
-
第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
-
第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
-
第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
-
第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
-
第9章アセットマネジメントビジネスの強化
-
第10章デジタル戦略の本格展開
-
第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
-
第12章業務インフラの高度化
-
第13章グループ経営を支える人事戦略
-
第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
-
第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに