大阪・関西プロジェクトへの取り組み
2018年11月、パリで開催された博覧会国際事務局総会において、2025年国際博覧会の開催国として日本(大阪)が選出された(以下、大阪・関西万博)。大阪・関西万博は2025年4月13日~10月13日の全184日間、大阪・夢洲(ゆめしま)で開催される。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。日本の魅力を世界に発信する絶好の機会となり、開催地のみならず、日本を訪れる観光客が増大し、地域経済が活性化する「起爆剤」となることが期待されている(注8)。
関西では、大阪・関西万博だけではなく、統合型リゾート(IR:Integrated Resort)の誘致や「うめきた2期地区開発事業」(注9)など、大阪を中心に複数の大型プロジェクトが具体化している。IRはカジノに加え、会議施設や大規模商業施設、宿泊施設などが一体となった統合型リゾート施設で、国内外から多くの観光客が訪れることが想定されている(注10)。大阪府・市は、2020年代後半での部分開業を目指す。
三井住友銀行をはじめとするSMBCグループにとって大阪・関西はマザーマーケットの一つであり、関西各自治体・財界の期待も非常に高いことから、SMBCグループの力を結集してこれらのプロジェクトへの対応を進めている。具体的には、プロジェクトに関連して発生するビジネスチャンスを最大限捕捉すべく、まずは銀行内の知見やノウハウを結集し連携するため、関係各部横断的な「大阪・関西プロジェクトチーム」(事務局:コーポレート・アドバイザリー本部大阪駐在)を2019年4月に設置した。そのうえで、①ベイエリア(夢洲)開発をはじめとする大型プロジェクトの成功への貢献(2025年に向けた長期的な体制維持を含めた大阪・関西へのコミット)と、②大阪・関西地域におけるSMBCグループのプレゼンス向上、取引先への価値提供と関係強化に注力した。
三井住友銀行は2021年4月、大阪・関西プロジェクトチームを発展的に解消し、「地域貢献」「ビジネス捕捉」両輪での推進を目的とする「関西成長戦略室」を法人戦略部の部内室として新設した。お客さまとともに、プロジェクトを取り巻く各種課題の解決に向けた活動を行うことで、 関西経済の持続的な成長にとって重要な大型プロジェクト自体の成功に貢献するとともに、同時にお客さまのビジネス参入をサポートしている。さらには、万博を契機として発生するお客さまのイノベーションニーズやビジネスモデル変革ニーズに対応するため、オープンイノベーションの活性化、ひいてはエコシステムの構築に努めている。
2020 年 7 月、内閣府が進める「世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」(注11)の「グローバル拠点都市」の一つとして、「大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム」が選定された。これにより、京阪神地域におけるスタートアップ・エコシステムの形成が加速することが期待されている。こうしたなかで、2020年9月、三井住友フィナンシャルグループ(当社)と三井住友銀行は、兵庫県神戸市の三井住友銀行神戸本部ビル2階に「hoops link kobe」(フープス・リンク・コウベ)をスタートアップ支援およびオープンイノベーション拠点として開設した。
hoops link kobeは、兵庫県の「起業プラザひょうご」、国際連合プロジェクトサービス機関(UNOPS:United Nations Office for Project Services)の「Global Innovation Center Japan(GIC Japan)」を併設する施設として、兵庫県・神戸市、県内外の大学、地元経済界、ならびにUNOPSのGIC Japanとの連携を図り、「ひょうご・神戸スタートアップ・エコシステム」の中心拠点の一つとして活動するとともに、社会課題解決のためのオープンイノベーションを進め、SMBCグループとしても新規事業創出を目指していくこととしている。

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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに