第7章
グローバル・プレーヤーとしての進化

1.Next Stageへ進むグローバル戦略

SMBCグループのグローバル・ビジネスは2014~2016年度の中期経営計画の期間中に一段と拡大し、2016年度には三井住友フィナンシャルグループ(当社)の連結業務純益に占める海外業務の割合は30%を超えた。2017年4月に導入した事業部門制の下で、国際事業部門長(注1)がSMBCグローバル・ビジネスをグループ横断的に統括することとし、グループ一体となってグローバル・プレーヤーとして進化することを目指した。

2017年4月よりスタートした中期経営計画では、当社が目指すべき将来像を「アジア・セントリックなグローバル金融グループ」とし、引き続き、アジアを第二のマザーマーケットとしつつ、グローバルにソリューションを提供する方針とした。これを受けて、国際事業部門は、2016年度までの実績をベースに、「クライアントフォーカス(注2)」「クレジットフォーカス(注3)」「アジア・セントリック(注4)」を引き続き主要戦略として、次の段階へ進めることとした。戦略展開に際しては、海外のビジネス環境の不確実性が高まるとともに、バーゼルⅢの最終化による所要自己資本が増加することが見込まれたことから、限られた資産・資本をグループベースで効率的に活用し、ポートフォリオを最適化するための体制構築が一段と重要となった。

そこで、国際事業部門では、資産規模の拡大に過度に依存しないビジネスモデルへの進化に注力した。具体的な主な施策としては、欧米大企業ビジネスでは、銀証一体運営とセールス&トレーディング(S&T)を軸として、お客さまへのソリューション提案を複合的に行っていく方針とする一方、アジアに関しては、非日系優良企業との取引複合化を進めるとともに、リテール向けデジタルバンキングを推進することを次の10年の成長戦略として位置づけた。また、プロジェクトファイナンスやミドルLBO関連貸出資産といった強みを持つプロダクトについては、ポートフォリオを回転させつつ、より高い資産・資本効率性を目指した。

2017年度よりスタートした中期経営計画期間中に、国際事業部門の業績は引き続き、当社業務純益の30%台前半の割合で推移した。2020年度より新たな中期経営計画がスタートし、欧米中心に海外証券業務の強化などCIB(Corporate and Investment Banking)ビジネス(注5)を高度化する一方、アジアにおいてはインドネシアに加え、ベトナム、フィリピン、インドなどへ事業基盤を拡大する方針とした。また、グローバルにビジネスを拡充すると同時に、ガバナンスの強化、ポートフォリオ管理、人材育成、安定的な外貨調達の推進など、グローバル・プレーヤーに相応しい経営基盤の強化にも注力している。

図表7-1 海外ビジネスの業務純益は特に2012年度から2017年度まで大きく拡大した。
(図表7-1)海外ビジネスの業務純益の推移
図表7-2 2017年度以降も、ネットワークの拡大は続き、12拠点を開設した。
(図表7-2)海外ネットワークの拡充(2017年4月~2021年3月)