(2)貿易金融のデジタルプラットフォームの推進

国際事業部門は、2020年度よりスタートした中期経営計画において、「新たなビジネスエリアの開拓」を主要施策に掲げ、新たな成長エンジンの創出に取り組んだ。その大きな柱の一つが、貿易金融におけるデジタライゼーションの取り組みであった。

貿易取引には、複数の当事者間での紙書類の授受など煩雑な業務プロセスが多く存在し、デジタル化による効率化が比較的遅れている分野であった。そこで三井住友銀行は、ブロックチェーン技術を活用した取引の効率化に早くから着目し、2018年にR3社のブロックチェーン技術Corda(コルダ)を活用した貿易金融のデジタルプラットフォーム「Marco Polo」(マルコポーロ)のグローバルコンソーシアムに、邦銀として唯一、初期段階から参画した。Marco Poloはアイルランドのベンダー「Marco Polo Network OperationsIrelandLimited(旧TradeIX、以下Marco Polo Network)」(注28)を中心に、世界中の金融機関が集まって開発を進めてきたもので、貿易取引において債権流動化、支払保証、サプライチェーンファイナンス(注29)等の貿易金融ソリューションを提供する。三井住友銀行は、2019年にはMarco Poloを用いた実証実験に成功、202011月にはお客さまに対する実取引でのサービス提供を開始した。20213月末には三井住友銀行が邦銀として初めてMarco Polo Networkに対し出資を行った。

加えて、三井住友銀行は、コモディティの貿易金融に特化したデジタルプラットフォーム「komgo」やMarcoPoloと同じブロックチェーン技術Cordaを活用して信用状(LC)取引の電子化を目指すデジタルプラットフォーム「Contour」にも参画した。さらに、20215月にはKomGo SA(注30)に、翌6月にはContour Pte. Limited(注31)に対する出資を行った。こうした取り組みを通じて、貿易取引のあり方に変革を促すとともに、新たなビジネス機会創出に資する付加価値の高いサービスの提供に努めている。

図表7-7 三井住友銀行は、貿易金融におけるデジタライゼーションを推進している。
(図表7-7)三井住友銀行が参画している主な貿易金融プラットフォーム