(2)特定セクター・事業に対する取組方針の見直し
近年、若い世代が世界各地で「気候ストライキ」を実施するなど、気候変動に対する危機意識が強まっている。機関投資家においても、ESG投資の観点から、気候変動に対する企業の取り組みを評価したうえで投資先を選定する動きが一段と広がりつつある(注35)。こうしたなかで、気候変動や環境に影響を与えているとみられる事業に対する、金融機関の取組方針に注目が集まっている。
そこでSMBCグループは2020年4月、「ESGに関するリスクの考え方について」を公表し、環境や社会へ大きな影響を与える可能性が高いセクター・事業に対する取組方針を見直すとともに、対象セクターを大幅に拡充した。とりわけ注目度の高い石炭火力発電については、「原則として新規の石炭火力発電所への支援は行わない」とし、超々臨界圧などの環境へ配慮した技術を有する案件、および方針改定前より支援をしている案件については、慎重に対応を検討するとした(注36)。そのうえで、SMBCグループは、2040年度を目途に石炭火力発電向け貸出(プロジェクトファイナンス)残高をゼロにするとの目標を公表した(注37)。2021年5月には、気候変動問題への対策を強化するなかで、石炭火力発電所の新設および拡張案件への支援は行わないことを表明し、例外規定を排除した。
こうした特定セクター・事業への取組方針は、主要グループ各社(三井住友銀行、SMBC信託銀行、三井住友ファイナンス&リース、SMBC日興証券)において適用されている。

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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに