(3)コミュニティに対する取り組み

コミュニティに対する取り組みとして、三井住友銀行とSMBC信託銀行は2017年7月、神戸市の「糖尿病性腎症等重症化予防事業」に対して、日本初となるソーシャルインパクトボンド(SIB:Social Impact Bond)(注19)による本格的な事業資金の調達スキームをアレンジした。SIBの導入により、行政は、事業に必要な初期投資を民間資金で賄うことで財政上のリスクを抑えつつ、民間のノウハウを活用して質の高いサービスを提供することが可能となる(注20)。事業者も、官民連携により新たなビジネスチャンスを獲得でき、資金提供者も資金運用を通じて社会的課題解決に貢献することが可能となる。

図表14-5 ソーシャルインパクトボンドによる糖尿病性腎症等重症化予防事業への資金提供
(図表14-5)神戸市のSIBを活用した糖尿病性腎症等重症化予防事業の概要

SMBC日興証券では、2020年3月より、社会課題のより積極的な解決を目的として、国内金融機関としては珍しい、業務時間の一部を用いた「プロボノワーク」制度(注21)を導入した。「プロボノワーク」では、社内公募により選出された社員に加え、自発的に参加を希望する社員らがチームを組んで支援団体へのサポートを行うとともに、専門性を活かしながら社会課題の解決に積極的に取り組んでいる。多様性に富んだメンバー同士でプロジェクト達成を目指すことにより、社員のエンゲージメント向上も図っている。

また、インドネシアでは、Bank BTPNが、銀行口座を保有していなくても利用可能なモバイルバンキング「BTPN Wow!」を2015年3月より提供し、銀行のない地域の人々の金融へのアクセスを可能にしている。また、Bank BTPNが70%出資するBank BTPN Syariah(注22)が、「低所得生産層」と呼ぶ小規模事業者、とりわけ女性に重点を置いて、無担保無保証で融資を提供し、金融包摂による貧困の克服、女性のエンパワーメントに貢献している。

そのほか、当社は2021年4月、「三井住友銀行ボランティア基金」(注23)をグループ役職員も参画可能な「SMBCグループライジング基金」として展開し、基金の寄付先に対して当社が同額を寄付するマッチング・ギフトを実施することとした。