2.中期経営計画(2011~2013年度)の策定と実行

当社グループ(注1)は2011年4月、新たな経営体制の下、中期経営計画(2011~2013年度)(注2)をスタートさせた。東日本大震災後の非常に厳しい外部環境のなか、「中期経営計画を進めるにあたっては、わが国を代表する金融グループである当社グループが、東日本大震災からの日本の復興を金融面から力強く支えていくことが前提となる」との考えの下、金融面でのプロアクティブな支援を通じ日本の復興に貢献していく姿勢を明確化した。

(1)経営目標と財務目標

新たな中期経営計画(2011~2013年度)は、前中期経営計画「LEAD THE VALUE計画」(2007~2009年度)における、「『先進性』『スピード』『提案・解決力』の極大化により『最高の信頼を得られ世界に通じる金融グループ』を目指す」との経営方針を引き継いだうえで、その実現に向け、今後3年間の経営目標として、「戦略事業領域におけるトップクオリティの実現」と「新たな規制・競争環境に対応した財務体質の実現」の2点を掲げた。「トップクオリティの実現」とは、あらゆる面で「質」による他との差別化を図るという意味であり、後者の「財務体質の実現」とは、単なる財務面の強化だけではなく、新しい競争ルールの下で、グローバルに勝ち残っていくためには、リスク・リターンの改善や効率性の高いビジネスモデルの構築など、業務基盤・経営基盤を強化する必要があるということを意味していた。

そこで、計画最終年度の2014年3月末までに達成する財務目標を設定し、「健全性」「収益性」「成長性」のバランスの取れた安定的な向上を目指すこととした。具体的には、①「健全性」に関しては、グローバル金融グループに相応しい「コアTier1比率(普通株式等Tier1比率)」として「8%程度」、②「収益性」に関しては、「連結当期利益RORA(Return on Risk Assets)」で「0.8%程度」、また、③当社「連結経費率」で「50%台前半」、三井住友銀行単体の「経費率」で「40%台後半」、さらに④「成長性」に関しては、アジアを中心とする海外の成長を捕捉し、海外収益力を増強するという観点から、「海外収益比率」で「30%程度」という4つの財務目標を掲げた。バーゼルⅢ完全実施ベース(除くその他有価証券評価差額金)(注3)のコアTier1比率(注4)で8%程度という目標は、2019年3月末において最低所要水準とされる7%(除くG-SIBsバッファー)を5年前倒しで、かつ1%程度上回る形で達成することを目指したものだった。

株主還元方針については、国際金融規制の最終的な内容が依然不透明ななか、前中期経営計画(2007~2009年度)における、「銀行としての公共性に鑑み、健全経営確保の観点からグループ全体の内部留保の充実に留意しつつ、企業価値の持続的な向上を通じて、安定的かつ継続的に利益配分の増加を図り、連結当期純利益に対する配当性向を20%超とする」という基本方針を維持した。

図表2-1 中期経営計画(2011~2013年度)の概要
(図表2-1)中期経営計画(2011~2013年度)の概要