4.お客さま拡大に向けた取り組み
(1)若年層取引拡大に向けたブランドマーケティング
2013年4月に設置した構造改革委員会(注29)において検討された施策の一つが、マーケティング戦略、特に若年層のお客さまの増加、取引強化に向けた取り組みであった。実際、三井住友銀行は、インターネットによる金融機関イメージ調査で他行に劣後し、年齢区分ごとの給与振込口座シェアにおいては若年層ほどシェアが低いという結果が出ていた。
若年層取引は、お客さまとの長期的な関係構築により、ライフイベントに伴う金融ニーズの捕捉や取引複合化・メイン化など収益につなげることが可能であり、三井住友銀行では2014年度から広告宣伝費を増強し、次々とプロモーション施策を打ち出した。
まず、若年層を中心に人気・知名度とも高い女優の吉高由里子を起用し、「いくぞ、ミライ。」をキーメッセージとしたプロモーションを2014年10月から開始。テレビCMの放映などにより、資産形成層向けにSMBCブランドの浸透と確立を図った。キーメッセージには、「未来が、とても明るく、希望に満ちたものであることを、強く願う。SMBCもそんな明るい未来の実現を後押ししていきたい」との想いを込めた(注30)。
また、お客さまに付加価値の高いサービスを提供するため、コールセンターの強化も進めた。具体的には、2014年4月にダイレクトバンキング営業部とネットローンプラザを再編し、アウトバウンド(架電業務)を中心に営業推進を図るリモート営業部と、インバウンド(受電業務)の各種照会・手続き・運用商品の電話受注などを行うコールセンターを設置。営業店のサポート強化を通じて、運用商品などの販売やアフターフォローなど、お客さま満足度の向上を図った。
さらに、若年層の三井住友銀行への親近感醸成を狙いとして、かわうそをモチーフにしたオリジナルキャラクター「ミドすけ」を2014年10月に導入した。若年層の利用率が高いSNS(注31)を通じて情報発信を行っていくため、2014年9月にFacebookおよびLINEに三井住友銀行の公式アカウントを開設(2016年7月にTwitter、2018年7月にInstagramの公式アカウントも開設)。LINEの友だち登録が1,482万人(2021年3月末)を超えるなど人気を博している。

ミドすけは、頒布品など各種ノベルティグッズとして使用しているほか、イベントへの着ぐるみの派遣、期間限定情報発信ショップ「ミドすけカフェ」(注32)開催など幅広く活用。三井住友銀行のイメージ向上に一役買っている。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに