3.CS(お客さま満足)からCX(お客さま体験価値)へ

「お客さま本位」を深化させていくために、2010年代後半から社会全般で導入され始めた概念にCX(Customer Experience:お客さま体験価値)がある。CS(Customer Satisfaction:お客さま満足)が「お客さまから寄せられた不満を解消することを目指す」ものであるのに対して、CXは「お客さまのニーズを主体的に把握し、それに応えることで長期的な関係を創出することを目指す」概念とされている。当社は、より幅広い概念であるCXに基づいてお客さま本位を推進した。

図表4-3 CXとCSの違いを表した概念図
(図表4-3)CXとCSの違い

具体的な取り組みとしては、三井住友銀行ではCXの考え方・概念を明確化するために、2019年2月に「CS推進規則」の内容を改定し、新たに商品・サービスを開発する際には、想定ユーザーを対象としたニーズ調査・ユーザビリティ調査(注11)を行うなど、「お客さま目線での検証」を行うことを義務づけた。2020年5月には、当社のCS向上会議・CS向上部会をそれぞれCX向上会議・CX向上部会へと名称を変更し、規程も「SMFGCS推進規則」から「SMFGCX推進規則」へと改めた。

CXに基づき進められた具体的な施策としては、三井住友銀行・SMBC信託銀行・SMBC日興証券のリテール事業部門各社におけるNPS調査(注12)の導入、三井住友銀行におけるデジタルアンケート(注13)の導入などがある。このほか、SMBCグループ表彰(注14)の導入(2018年7月)やユニバーサルマナー研修の定期開催(2015年8月開始)、「高齢者・障がい者対応ハンドブック」の制定(2018年4月)など、幅広い観点からお客さま本位・CXへの取り組みを続けている。

「お客さま本位」に関わるSMBCグループのこうした取り組みは外部からも高く評価されている。たとえば、コールセンター運営の国際的な品質保証規格とされているCOPC(注15)のCSP規格を、SMBCコンシューマーファイナンスが2013年以降8年連続で認証取得しているほか、三井住友銀行やSMBC信託銀行、SMBC日興証券も同認証を取得している。また、図表4-4の通り、サービス品質等に関する賞を数多く受賞している。

図表4-4 HDI格付やUCDAアワードなど、サービス品質に関して、SMBCグループ各社の受賞事例の一覧表
(図表4-4)サービス品質等に関わる受賞事例