(2)海外銀証一体運営の推進

海外における証券ビジネスは、2009年10月に日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)がグループ入りした後、ほぼゼロから構築し、米国におけるFHC(Financial Holding Company:金融持株会社)ステータスの取得(2013年5月)を経て、非日系企業の債券引受業務を中心に徐々に拡大してきた。2017年4月に導入した事業部門制の下、三井住友銀行とSMBC日興証券は海外における銀証連携を一層強化すべく、①フロント・企画を含む意識改革、②非日系企業に対する債券引受業務や投資家向けS&T業務の強化、③銀証一体での投資家・発行体への顧客カバレッジの強化に取り組んだ。目指したのは、当社が強みとする日本・アジアに関する知見・情報等を活用して欧米非日系企業にアプローチし、最適な調達手段や財務健全化、およびM&Aに資する提案を銀証一体となって行うビジネスモデルであった。

債券引受業務の拡充には、発行体となる事業法人のお客さまからより高い評価を得るために当社の投資家アクセスを強化することが課題となった。市場事業部門を中心にセールス&トレーディング(S&T)(注10)強化のためのプロジェクトチームも併走し、投資家ニーズに適う商品提供のため、各プロダクトの強化に注力した。銀証一体となった営業努力の結果、SMBC日興証券のアクティブ・ブックランナー獲得件数は中期経営計画における2017年度の目標を上回って推移し、2018年1月に当社が発行した米ドル建シニア債ではSMBC日興証券が初のグローバル債トップレフト(注11)を担うこととなった。また、2018年度にはグループ企業以外の起債において初のトップレフトを獲得した。

M&Aアドバイザリー業務については、2019年12月、クロスボーダーM&A案件(含むファイナンス案件)の増加を踏まえ、当該案件への対応力強化を図るべく、三井住友銀行国際統括部(2020年4月よりグローバルバンキング統括部へ改称)内に「グローバルIBコーディネーション室」を設置し、内外・銀証連携のハブとしてクロスボーダーM&Aへの対応力強化を図った。

(写真)ニューヨークのオフィスの扉には、三井住友銀行とSMBC日興証券の名前が並んで記載されている。
SMBCグループとして銀証一体運営を進めるニューヨークのオフィス