(3)銀証連携の推進
三井住友銀行は2009年10月1日、日興コーディアル証券を100%子会社とすると、同日より日興コーディアル証券とのホールセール証券業務(法人顧客向け証券業務)に関する連携を開始した。具体的には、日興コーディアル証券のホールセール機能の強化と並行して法人運用、引受、M&A、IPO等の分野における銀証連携を進めた。そのため、10月1日付で日興コーディアル証券のホールセール事業推進部内に、三井住友銀行との連携業務専担の「SMBCデスク」(東京、大阪に計10人程度配置)を設置し、当該デスクを通じて日興コーディアル証券の担当セクションの紹介やミーティング・アレンジ、案件サポート等を実施することとした。2010年4月には、日興コーディアル証券から三井住友銀行への顧客紹介業務を開始した。
三井住友銀行と日興コーディアル証券との間にはファイアーウォール規制が適用されるため、お客さまニーズ等の非公開情報の授受を行う場合は、お客さまより事前に「情報共有同意書」を取得する必要がある。そこで三井住友銀行は、「関連証券会社との連携手続」を改定してコンプライアンスの徹底に努めた。
三井住友銀行は2013年11月、企業金融部門内に銀証兼職組織として本店営業第九部を新設し、SMBC日興証券に新設された第八事業法人部を兼職することとした。所管は、電機・精密セクターのうち、「情報共有同意書」をもらっている一部のお客さまとし、部長以下、SMBC日興証券などで経験を積んだ証券スキルを有する人材、SMBC日興証券出身の人材も配置した。こうした兼職組織の新設は、①銀証融合による情報提供、シンジケートローン(銀行商品)と普通社債(証券商品)の同時提案やハイブリッドファイナンスの提案、M&Aの初期的提案等、銀行・証券のプロダクトの同時提案による新たな付加価値の提供、②証券業務、銀行業務双方のスキルホルダーの育成、③兼職態勢の拡大に向けた各種フィージビリティスタディの実施(業務面、態勢面、情報管理・コンプライアンス面、人材育成面等)を目的としていた。
実際に兼職組織が稼働すると、多様な証券提案(事業戦略、資金調達、株式関連、グループ施策、IR(注25)活動等)を通じ、主要顧客のアドバイザーとしての地位が向上し、案件関与数も着実に増加した。そうしたなかで2016年10月、小売・食品・ヘルスケア業界を担当する本店営業第八部と通信・IT・マスコミ業界を担当する本店営業第十一部も銀証兼職組織に移行した(それぞれSMBC日興証券の第九事業法人部、第十事業法人部を兼務)。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに