(3)資産承継への取り組み

一定の形式・要件が定まっている遺言信託などと異なり、事業承継・資産承継はお客さまの課題が様々であることから、その解決方法もケースバイケースとなる。したがって、ニーズ喚起から提案・解決に至るビジネスの成否は、現場の担当者一人ひとりのリレーション構築力や、知識・経験に基づくソリューション提案力に負うところが大きい。三井住友銀行では、営業店における高度なコンサルティングをサポートすべく、各種研修等による担当者スキルアップのほか、お客さまニーズを喚起するための仕組みづくり、ツールの調製、商品・サービス拡充など様々な施策を講じた(注27)

資産承継に関わるお客さまの課題解決方法は、生前贈与の実施、資産管理会社の活用、不動産の購入、信託機能の活用など多岐にわたる。三井住友銀行では、コンサルティングにより最適のソリューションを提案しているが、その一部は図表3-4のような定型の商品・サービスとして広く提供している。

図表3-4 三井住友銀行が、2011年4月からの10年間に取扱いを開始した、資産承継に関する主な新商品・新サービスの一覧表
(図表3-4)資産承継に関わる新商品・新サービス

このほかに、地権者向けの商品としてアパートローンがある。アパートローンは、相続・承継対策のほか、お客さまが保有する土地の有効活用支援など地権者向けソリューションとして有効な商品であり、銀行にとっても取引複合化につながることから、重要なソリューションツールと位置づけて積極的に推進してきた。

もっとも、シェアハウス向け融資等の問題(注28)をきっかけにリスクが顕在化したことから、アパートローンの重要性に変わりはないものの、不動産仲介業者持込の投資・購入案件への対応を控えるなど、2018年度以降はルールを厳格化したうえで対応している。