(2)銀行における資産運用ビジネスの裾野の拡大

銀行のお客さまの中にはリスク選好度の低いお客さま、あるいは投資初心者・投資未経験者も多い。三井住友銀行では、これらのお客さまの資産形成ニーズ・安定運用ニーズに応えることで、資産運用ビジネスの裾野拡大に取り組んだ。具体的には、お客さま一人ひとりのニーズやライフプランに合った商品・サービスを提供するという、コンサルティングの基本(=お客さま本位)を再徹底するとともに、投資初心者でも購入しやすいローリスクからミドルリスク商品の品揃えを拡充した。特に、資産管理型ビジネスに資する、資産分散・通貨分散・時間分散(注14)など中長期分散投資を軸とした運用提案を推進した。

資産分散投資に適した商品としては、以前からファンドラップやバランスファンドを取り扱っていたが、そうした商品の機能見直しなどにより利便性向上に努めた。たとえばファンドラップについては、当初契約金額の引き下げ(2013年7月)、基本報酬率の引き下げ(2014年3月)、新コース「より安定型」の追加(2015年12月)、長期ご契約割引・定期定額払出機能の追加(2016年12月)などを実施した。

バランスファンドについては、日本初の最低保証付き商品「あんしんスイッチ」(注15)(2017年7月)、最先端の金融テクノロジーを活用した「ダブル・ブレイン」(注16)(2018年11月)など新しいタイプの商品を取り扱うとともに、投資未経験者に投資に興味を持ってもらうために、キャンペーンやセミナーの実施、投資に関する情報提供に注力した。

このほか、時間分散効果が期待できる自動積立商品や、通貨分散となる外貨建商品などを積極的に提案した。たとえば、18通貨から選択できる外貨自動積立(2015年4月)、初回預入時に特別金利を付ける外貨定期預金「外貨の扉」(2016年7月)、販売促進プラン「つみたてミライ」(注17)(2019年5月開始)などの取扱いを開始した。

また、政府が「貯蓄から資産形成へ」を後押しするために創設した個人投資家向けの少額投資非課税制度「NISA」(2014年1月)、未成年者を対象とした「ジュニアNISA」(2016年1月)、少額からの長期・積立・分散投資を支援する非課税制度「つみたてNISA」(2018年1月)も積極的に推進した。

(画像)外貨の扉のチラシ
「外貨の扉」のチラシ
(画像)つみたてミライのチラシ
「つみたてミライ」のチラシ

少額からでも運用できる自動積立商品は、より幅広い層のニーズが見込まれたことから、多くのチャネルで提案・加入できるように、諸届の受付などを行う店頭のローカウンターにおける自動積立商品の提案(2017年4月)や、ローンプラザなどでの自動積立商品の取扱い(2020年4月)も開始した(注18)