3.中期経営計画(2017~2019年度)の策定と実行

当社は2017年4月、新たな経営体制の下、中期経営計画「SMFG Next Stage」(2017~2019年度)をスタートさせた。前回の中期経営計画の後半以降、新興国経済の減速やわが国におけるマイナス金利政策の導入など、厳しい収益環境が継続していることに加え、社会・経済の構造的変化が着実に進んでいることから、新中期経営計画は、引き続きボトムライン重視の方針を維持しつつ、デジタライゼーションなどの社会・経済の変化や新しいトレンドに対応し、競争力を強化することで、多くのビジネスチャンスを捕捉することを狙って策定された。

(1)3つの基本方針

中期経営計画(2017~2019年度)は、「最高の信頼を通じて、日本・アジアをリードし、お客さまと共に成長するグローバル金融グループ」というSMBCグループの中長期ビジョンの実現に向けて、「ディシプリン」「フォーカス」「インテグレーション」の3つをキーワードとする基本方針を定めた。

「ディシプリン」を重視した事業展開

バーゼルⅢの最終化により、リスクアセットの増加が見込まれるなか、厳しい環境下においてもボトムライン収益の持続的成長を実現するため、従来以上に、「資本」「資産」「経費」の効率にこだわった運営を行い、収益性の高い金融機関を目指すこととした。具体的な取り組みとして、SMBCグループの競争優位性とビジネスの成長性を軸に、優先的に資源投入する分野を選別し、資本効率の良い収益構造へと転換することとした。同時に、国際金融規制強化への対応として、リスクアセットコントロールを一段と強化するほか、テクノロジーを活用した業務プロセスの効率化といった業務改革による効率性向上やリテール店舗改革、グループ内事業の再編等を通じて、2019年度末までに500億円、中期的に1,000億円の経費削減を目指すことを公表した。

図表2-2 SMFGにとってのビジネスの成長性をX軸に、SMFGの競争優位性をY軸に取り、事業ポートフォリオをEnhance、Grow、Build、Transformの4つに分類
(図表2-2)事業ポートフォリオの転換

強みに「フォーカス」した成長戦略の推進

SMBCグループの競争優位性とビジネスの成長性を判断軸として、「7つの戦略事業領域」を選定し、SMBCグループとして注力していく分野を明確化した。具体的には、競争優位性があり、安定的な収益基盤である国内事業の一層の強化(Enhance)とともに、海外事業やグローバル・プロダクトにおいて、自社の強みにフォーカスしたメリハリのある成長戦略を推進(Grow)することとした。さらに、将来の成長に向けて、セールス&トレーディングや信託やアセットマネジメントビジネスの構築等、新たな強みづくり(Build)に取り組むこととした。

図表2-3 Enhance、Grow、Buildに分類された7つの戦略事業領域
(図表2-3)7つの「戦略事業領域」

持続的成長を支えるグループ・グローバルベースの運営高度化

当社は、グループ会社がグローバルに緊密に連携してビジネスチャンスを捕捉するとともに、効率的な業務を推進していく観点から、「インテグレーション(統合)」をキーワードとして、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社への移行によるガバナンス態勢の高度化に加え、後述する事業部門制・CxO制の導入、さらには、デジタライゼーションの活用を進めることとした。