2.「外貨」「信託」「不動産」を軸にしたエッジの効いたビジネスの展開
SMBC信託銀行は、資産運用事業およびPBビジネス(注14)のほか、「外貨」「信託」「不動産」という3つの機能を活かしてエッジの効いたビジネスを展開している。
(1)外貨関連ビジネスにおける強み
シティバンク銀行リテールバンク事業統合により引き継いだお客さまの多くが、外貨での資産運用やトランザクションなど外貨取引ニーズが強く、統合時の預金残高の約4割が外貨預金であった。SMBC信託銀行は、この強みをさらに活かすべく、「外貨」を前面に出したブランド戦略や外貨の特徴を活かした商品の発売等により、外貨建資産の積み上げを図った。
まず、新ブランドの立ち上げにあたっては、「外貨のプレスティア」をキーワードに、外貨を保有する意義や外貨建商品・サービスを紹介する広告を展開した。また2016年度の「Mr.PRESTIA」に次いで、2017年度にはグローバル性と知性を兼ね備えたタレントのパトリック・ハーラン(愛称:パックン)をイメージ・キャラクターに起用し、SMBC信託銀行のイメージ浸透と外貨保有の啓発を図る広告やキャンペーンを展開した。
商品・サービスについては、もともと外貨建てのラインアップは豊富だったが、さらに米ドル建てのラップ型ファンドや外貨建承継対応投資信託(注15)など外貨建商品を拡充した。またシティバンク銀行時代から、世界200以上の国・地域のATM/CDから現地通貨で引き出すことができるサービスを提供していたが、2019年10月からは「PRESTIA GLOBAL PASS」(多通貨Visaデビット一体型キャッシュカード)の取扱いを開始し、取扱可能通貨を日本最多の18通貨に増やすなど、さらに利便性を向上させた。

このほか、外国人のお客さま向けにサービス案内やパンフレットなどを英語で対応するグローバルブランチの開設(2016年11月)、「PRESTIA<プレスティア>」ブランドのプレゼンス向上を狙った外貨両替コーナー「PRESTIA EXCHANGE」の承継(注16)(2018年4月)、外国銀行との提携による商品・サービス等の向上(2018年11月バンク・オブ・ハワイ、同月バンク・オブ・シンガポール)など様々な形で、外貨取引ニーズのあるお客さまの利便性向上を図っていった。
なお、プレスティアの口座数・外貨建て預り資産残高は、シティブランドがなくなったことなどにより統合後しばらくは減少が続いたが、2016年度第4四半期を境に横這いから増加に転じており、国内外貨預金市場に占めるSMBCグループ(SMBC信託銀行と三井住友銀行の合算)の割合は2021年3月末時点で約30%と圧倒的なシェアとなっている。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに