3.ダイバーシティ経営の深化
女性の活躍推進をはじめとするダイバーシティの推進については、三井住友銀行が2008年4月に人事部内に「ダイバーシティ推進室」を設置し、2014年5月には頭取を委員長とする「ダイバーシティ推進委員会」を新設するなど、グループ各社が早い段階から経営陣によるコミットメントの下、本格的に取り組んできた(注6)。
2016年には、グループ全体でダイバーシティの推進を一層強化するため、当社はグループ横断的な「SMFGダイバーシティ推進ワーキンググループ」を立ち上げ、2017年4月には、当社人事部に「ダイバーシティ推進室」を新設(注7)した。そのうえで「SMBCグループ ダイバーシティ&インクルージョン・ステートメント」を公表、ダイバーシティ&インクルージョンをSMBCグループの「競争力の源泉」、「成長戦略そのもの」と位置づけ、グループ全体でより強力に推進していくこととした。
SMBCグループ ダイバーシティ&インクルージョン・ステートメント(2017年)
SMBCグループにとって最大の経営資源は「人材」であり、経営理念において、「勤勉で意欲的な社員が、思う存分にその能力を発揮できる職場を作る」と謳っています。 人種、国籍、年齢、性別、性的指向・性自認、宗教、信条、文化、障がい、キャリア、ライフスタイル、などに拘らず、多様なバックグラウンドを持つ社員が互いに尊重し合い、能力や個性を発揮し、働くことを通じてやりがいや成長を感じられる組織であることこそが、SMBCグループの「競争力の源泉」です。 価値観や属性の似通った人材で構成される組織よりも、多様な人材がそれぞれのバックグラウンドを活かして生き生きと活躍できる組織の方が、活力や革新性があります。 SMBCグループは、お客さまにより一層価値ある新たなサービスを提供し、あらゆるステークホルダーと共に持続的に成長するため、ダイバーシティ&インクルージョンをSMBCグループの「成長戦略そのもの」と位置づけ、グループ全体で推進していきます。 |
また、2018年4月、経営トップによる強いコミットメントの下、当社グループCEOを委員長、主要グループ各社の頭取・社長を委員とする「SMFGダイバーシティ推進委員会」を設置した。ダイバーシティ推進委員会では、主要グループ会社ごとに女性管理職比率や働き方改革に関するKPI(Key Performance Indicator)を設定するとともに、グループ各社のベストプラクティスを共有しつつ、グループ全体の取り組みをさらに加速させている。

2020年4月にスタートした中期経営計画は、2026年3月末におけるSMBCグループ全体(主要9社ベース)の数値目標として、有給休暇取得率85%以上、女性役員数20名、女性管理職比率20%を掲げた。リーダーシップ研修の実施や上司向けの意識醸成等を通じた、早期からの戦略的なキャリア形成支援に加えて、登用・昇進での「能力重視/人物本位」徹底のため、アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)研修を管理職層の必須研修としている。男性の育児参画に関する取り組みも推進し、2019年度の男性の育児休業取得率(注8)は100%に達し2017年度の33.5%より大幅に上昇した。
また、SMBCグループでは、LGBT(注9)等の性的マイノリティの従業員が働きやすい職場環境づくりにも取り組んでいる。たとえば、三井住友銀行では、2017年10月、「同性パートナー登録制度」をスタートさせた。これにより、従業員が同性のパートナーを銀行に登録することで、男女の婚姻関係における配偶者と同様、育児・介護休暇や看護休暇等の福利厚生制度を利用できるようになった。お客さまへの取り組みとしては、2020年2月より住宅ローンの連帯債務型借入れ(注10)における配偶者の定義に「事実婚」「同性パートナー」を含める対応を開始した。これに伴い、同性カップルの二人が一本の契約で住宅ローンを組むことが可能となった。これらの取り組みの結果、SMBCグループは、LGBT等の性的マイノリティに関する取り組み評価「PRIDE指標」(注11)において、2年連続で最高評価を受賞した。

さらに、SMBCグループは、障がい者の雇用に継続的に取り組むとともに、障がいのある従業員一人ひとりがその能力や適性を思う存分活かせるよう、さまざまな業務の開発や働きやすい職場環境づくりに取り組んでいる。三井住友銀行の子会社である「SMBCグリーンサービス株式会社」(1990年3月創立)(注12)では、全国8拠点で約450名の障がい者が三井住友銀行より受託したデータ入力や各種書類の点検・保管、データスキャン、手形・小切手帳の電話受付などの多様な業務に従事している(注13)。また、SMBC日興証券が2015年4月に設立した「日興みらん株式会社」では、グループ会社から受託した軽度な事務作業に加えて、千葉県市原市に「みらんファーム」を開園し、水耕栽培や野菜果物の栽培を行っている。農園では、日興みらんとSMBC日興証券の従業員がともに農作業で汗を流す「ノーマライゼーション研修」を実施し、従業員の「ノーマライゼーション」(注14)意識の向上を図っている。
また、SMBCグループには世界トップレベルの障がい者アスリートが多数所属し(注15)、国内外の競技大会に出場するとともに、講演活動などを通じて障がい者への理解を深める活動を行っている。SMBCグループはこれらアスリートを応援するため、「We are Team SMBC」というスローガンの下、所属アスリートを詳しく紹介し、各競技のルールをわかりやすく解説する特設サイトを立ち上げた。

-
第1章不確実性が増す外部環境
-
第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
-
第3章「カラを、破ろう。」
-
第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
-
第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
-
第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
-
第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
-
第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
-
第9章アセットマネジメントビジネスの強化
-
第10章デジタル戦略の本格展開
-
第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
-
第12章業務インフラの高度化
-
第13章グループ経営を支える人事戦略
-
第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
-
第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに