(4)事業承継コンサルティング

少子高齢化が進展するなか、2010年代に入ると地権者や法人オーナーなど富裕層の相続・承継問題についてマスコミ等で頻繁に取り上げられるようになった。特に、法人オーナーにとっては、相続対策や資産承継に加え、後継者不足による事業承継が切実な課題となっていた。

三井住友銀行では、個人である法人オーナーにとっての自社株対策や資産承継と、法人にとっての後継者問題は表裏一体と考え、リテール部門とホールセール部門の両方にまたがる組織であるプライベート・アドバイザリー本部に、事業承継を含めた相続・承継に関わる企画・運営・営業店サポート機能を集約し、リテール部門・ホールセール部門一体となって承継コンサルティングに取り組んできた。

お客さま向け施策としては、日本経済新聞社が主催するセミナー「相続・事業承継フェア」に2013年から毎年協賛・登壇したほか、2015年にはプライベートエクイティファンド(注54)と連携して「事業承継セミナー」を開催。「事業承継セミナー」は、SMBC日興証券との共催により個別の法人営業部においても実施し、情報提供に努めた。

個別のお客さまニーズに対しては、窓口となる法人営業部や法人エリア、エリア(注55)等が対応することとなるが、高度なソリューション提案力が求められるため、特に営業店サポートを強化した。たとえば、承継ナビゲーションツール(注56)の導入(2015年)や株価算定ツールの導入(2017年)など担当者のスキルアップ・提案サポートとなるツール等を拡充するとともに、本部担当者による営業店サポート機能を強化した。特に、オーナー系企業の事業承継において非同族による承継が増えてきたことを受けて、2017年度にはプライベート・アドバイザリー部をM&A(注57)関連各部に追加して、同部がM&Aに主体的に関与できるようにするとともに、2018年度にはオーナー系上場企業専担チームを設けるなど承継コンサルティング手法の高度化・専門化を図り、社内承継(MBO(注58)等)や社外承継(M&A等)などにも踏み込むようになった。また2020年度には、SMBC日興証券を中心とした「SMBC Private Wealth」を立ち上げ(注59)、承継コンサルティングにおいても三井住友銀行、SMBC信託銀行、SMBC日興証券が密接に連携して取り組んでいる。