(2)SMBCファイナンスサービスの取り組み
SMBCファイナンスサービスは、2020年7月にセディナと旧SMBCファイナンスサービスの2社が合併した会社で、セディナが行っていたクレジットカード業務・信販業務・ファクタリング業務(注9)等と、旧SMBCファイナンスサービスが取り扱っていた代金回収業務等を統合し、個人・法人向けに総合的な決済ソリューションを提供している。
このうちセディナは、2009年4月に、オーエムシーカード、セントラルファイナンス、クオークの3社が合併して誕生した会社で、当時相次いでいたメガバンク系列のクレジットカード会社における合従連衡の動きに対抗し、スケールメリットとシナジー発揮による効率経営を目指して実施されたものであった。
しかしながら、相対的にキャッシングを利用するお客さまの比率が高かったセディナにおいては、2010年6月に完全施行された改正貸金業法の影響が大きく、利息返還請求(いわゆる過払い金問題)(注10)や総量規制によるキャッシングの減少が収益を圧迫していた。加えて、オーエムシーカードの既存会員離脱(注11)という個社の課題もあり、セディナの業績は厳しいものがあった(注12)。
これを補うためにセディナは、新規会員募集強化などテコ入れ策に注力した。2013年4月に、若年層向けカード「セディナカード ファースト」の発行やカード券面デザインにハローキティを採用するなど、プロパーカードのラインナップを拡充。2014年7月からは、三井住友銀行の店頭において募集を行うクレジット一体型キャッシュカード「SMBC JCB CARD」(注13)の発行を開始した。このほか、「セディナプラチナカード」の発行(2014年9月)や既存提携先での会員募集強化、セブン&アイ・ホールディングスとの提携によるセディナ会員への買物優待特典の提供(2014年10月)などを実施した。また、新規提携先企業の開拓(2019年1月ジャパネットたかたと提携、2019年5月DCMホールディングス提携による「DCMマイボカード」取扱開始など)にも注力した結果、2019年度に会員数は増加に転じた。

セディナでは、会員増強を図る一方で、コスト削減や経営効率化にも取り組んだ。まず、旧SMBCファイナンスサービスを2012年3月に完全子会社化。これは、代金回収業務やファクタリング業務などの業務集約によるスケールメリットとミドルバック業務などの効率化を狙ったものであった。同様に、会員管理や加盟店管理などプロセシング業務を行っていた子会社のプロセントを2013年4月に吸収合併した。
2016年4月にはさくらカードと合併した。さくらカードではJCBブランドのクレジットカードのみを取り扱っており(注14)、当社グループ内で複数の会社がJCBブランドのクレジットカードを発行している状態が続いていた。そこで、セディナがさくらカードを統合することで、コスト削減と基盤強化を図ることとした。
さらにセディナにとっては、システムの更改も大きな課題となっていた。クレジットカード業務に関しては、オーエムシーカードとセントラルファイナンスのシステムを併用していたが、いずれも古くから稼働しているものだった。そこで、グループ内の三井住友カードの次期システム開発に際して、セディナのシステムも一本化する方向で検討が進められた。しかしながら、貸金業法や割賦販売法の改正など大きな業務環境変化が相次いだうえ、両社の顧客層や募集チャネルの違い、提携カードの多さ、信販業務の取扱いに代表される業務範囲の違いなどもあり、開発難易度は想定以上に高かった。そこで方針を転換し、新規のシステム案件については、三井住友カードの次期システム更新後のサミットシステム活用を前提とした開発を行うことで、部分的ながらコスト削減を図った。
一方、信販業務のシステムに関しては、併用していたセントラルファイナンスとクオークの信販システムの一本化を進め、約4年半の歳月をかけて開発し、2019年6月に統合を完了した。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに