(3)社会的ニーズに応える確定拠出年金の推進

2001年に確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)が導入されて以降、企業型・個人型ともに着実に加入者数が増加している。個人にとっては、長寿化に伴う長生きリスクや公的年金の将来的な給付水準に対する不安を背景に、自助努力による老後の備えの重要性が増しており、政府も個人型DC(iDeCo)の対象者拡大や企業による上乗せ制度導入など、制度を拡充させてきた。また、2012年の退職給付会計基準の改正による企業の財務リスク拡大や、企業型DCの使い勝手の向上などから、確定給付企業年金(DB:Defined Benefit Plan)からDCに移行する企業が相次いだ。

図表3-5 確定拠出年金加入者数は順調に拡大し、2021年3月末時点で、企業型は747万人、個人型は194万人に到達
(図表3-5)確定拠出年金加入者数の推移
図表3-6 個人型イデコの加入対象者拡大やイデコプラスの導入など、確定拠出年金拡大に向けて、2021年3月までの10年間に実施された数々の制度改正の一覧表
(図表3-6)確定拠出年金を巡る法改正等の動き

こうしたなか、当社グループにおいても、ジャパン・ペンション・ナビゲーター(注33)を核に、制度変更やお客さまニーズに合わせた体制強化、商品の拡充などを進めており、企業型DCの受託企業開拓や個人型DCの推進を通じて、お客さまの拡大や預り資産の増強を図っている。

まず2014年11月に、ジャパン・ペンション・ナビゲーターとSMBC日興証券の子会社・日興年金コンサルティングを合併させ、グループのノウハウ・人材を集結した。2016年9月には、法改正(個人型DCの加入対象者拡大)に対応して、先行していた企業型DCに続き個人型DCにおいても、ジャパン・ペンション・ナビゲーターが運営管理機関を担うスタイルから、三井住友銀行も運営管理機関となって主体的に営業活動を行う方式に変更し、新方式による商品「SMBC個人型プラン」の取扱いを開始した。新プランでは、事務委託先の一部をSMBC信託銀行とするなど、グループ連携も強化した。さらに2019年9月にはSDGsへの世界的な取り組み拡大を背景に、わが国初の社会貢献を融合させた「SMBC個人型プラン(みらいプロジェクト)」(注34)を追加した。一方、企業型DCにおいても、2018年度からはお客さま企業の窓口を三井住友銀行に一本化することで、スキームのわかりやすさと効率性を実現。取引複合化の推進強化も図っている。

また、個人型DC(iDeCo)に関わる業務を他金融機関から受託するなどビジネスの拡大も進めた。具体的には、2019年10月に、ジャパン・ペンション・ナビゲーターと信金中央金庫が連携し、全国80以上の信用金庫で取り扱う「しんきんiDeCo」(運営管理機関:信金中央金庫)のミドルバック機能(コールセンター、Webサイトの運営等)をジャパン・ペンション・ナビゲーターが受託した。

こうした当社グループによるDC業務の展開は、格付投資情報センターと日本経済新聞社が毎年実施している「日経企業年金実態調査」において、企業型DCにおける運営管理機関の総合満足度でここ10年(2011~2020年)の間に5回首位を獲得するなど、お客さまからも高く評価されている。