2.法人向けデジタルソリューションの展開

デジタル技術を活用することで、既存ビジネスの変革による新たなお客さま価値を創出することをデジタルトランスフォーメーション(DX)という。ホールセール事業部門では、DXを含めたデジタライゼーションの取り組みを推進する目的で、2018年10月に「法人デジタルプロジェクトチーム(PT)」を設置した。案件ごとにサブPTを設置し、複雑化する社会課題の解決や、お客さまの多様化する経営課題やニーズに幅広く応え、持続可能な社会の実現に貢献するサービスの創出に取り組んだ。2020年4月には、ホールセール事業部門に法人デジタルソリューション部を新設し、法人向けデジタルソリューションビジネスの推進を強化した(注12)。具体的な取り組みは以下の通り。

(1)ビジネスマッチングサービス「Biz-Create」開始

2019年5月、三井住友銀行は日本電気(NEC)と共同でインターネット上のお客さま同士がビジネスパートナーを探すことができる、いわゆるSaaS(注13)型のサービス、オープンビジネスマッチングサイト「Biz-Create」をリリースした。

三井住友銀行では、従来、お客さまの「新たな販路や仕入れ先を探したい」「業務提携先を探したい」といったニーズに応えるため、お客さまのニーズにマッチした取引先を紹介するビジネスマッチングを積極的に実施してきた。こうして積み重ねてきたビジネスマッチングのノウハウとSMBCグループのデジタライゼーション、NECのクラウド等のデジタル技術を組み合わせ、お客さまの技術・技巧を活用した新たな事業創出の場を提供するとともに、地域の枠を超えた日本全国でのビジネスチャンス拡大を通じた地方創生の実現を目的としたサービスが「Biz-Create」である。

お客さまはValue Door(三井住友銀行の法人向けインターネット窓口)のIDもしくは専用のIDを利用して「Biz-Create」にログインすることができ、無料でニーズ登録、ニーズ検索、商談エントリー、オンラインでチャット機能を活用した商談を行うことができる。さらに、金融機関(三井住友銀行含む)のネットワーク上でビジネスパートナーを探索できるため、安心して利用することができる。本サービスは地域金融機関とも連携して、金融機関の垣根を越えたビジネスマッチングの実現を目指しており、2020年11月には地方銀行初となる三重銀行・第三銀行(注14)との連携を開始した。「Biz-Create」というデジタル空間で、三井住友銀行・三重銀行・第三銀行のお客さまは、3行の取引先企業と相互につながることが可能になった。なお、2021年3月末時点での利用登録者数は約1万社に上っている。

図表6-2 具体的には機械メーカーと樹脂成型メーカー、医療機器・科学機器メーカーと金属製品製造業などのビジネスマッチング
(図表6-2)ビジネスマッチングの一例