5.三井住友ファイナンス&リースによる日本GEのリース事業買収

当社グループのホールセールビジネスにとってリース事業も、法人向けトータルソリューションビジネスの一つとして重要な柱であった(注29)。2011年度以降、世界金融危機を契機に落ち込んだリース設備投資が徐々に持ち直すなか、業界再編や本業回帰によるメーカー系リース会社などの撤退などを背景に、リース大手の寡占化が進行していた。リース会社の資産規模と収益性・効率性には一定の相関関係があることから、リース会社の統合によるマーケットシェア拡大は有効な施策と考えられた。

こうしたなか、米国General Electric(GE)が2015年4月、金融事業部門であるGE Capitalの資産の大半を売却して製造業部門に注力するという大胆な事業再編戦略を公表した。売却対象には日本GEのリース事業(除く航空機ファイナンス部門、不動産事業部門等)も含まれていた。この事業は、①設備・資産リース事業(旧日本リースが母体)、②小口リース事業(旧三洋電機クレジットを母体とする代理店を通じた小規模リース)、③オートリース事業(旧日本リースオート、旧丸紅カーシステムが母体)の3事業で構成され、2014年12月末時点の営業資産規模は約5,100億円であった。

2015年9月に一次入札、11月に二次入札が実施され、GEと三井住友ファイナンス&リースは2015年12月、日本GEのリース事業を約5,750億円で買収することに合意したと公表した。三井住友ファイナンス&リースによる日本GEのリース事業買収には、①寡占化が進む国内リース市場における三井住友ファイナンス&リースのトップクラスのポジションを固めるだけでなく、②GEで培われたITを活用した効率的なデータマーケティング、先進的な自動審査システム、高度なコンサルティング営業などの独自のノウハウを吸収する、③三井住友ファイナンス&リースと重複の少ない顧客基盤を獲得する(注30)、④新たな顧客基盤に対し三井住友ファイナンス&リースの商品・サービスのクロスセルを実施するなどの狙いがあった。

GEは売却対象事業を日本GEに集約したうえで、2016年3月に日本GEを合同会社に組織変更した。日本GE合同会社は、2016年4月に三井住友ファイナンス&リースの100%連結子会社となった。その後、9月に株式会社化し「SMFLキャピタル株式会社」と改称した。三井住友ファイナンス&リースはSMFLキャピタルとの統合も想定しつつ、クロスセルの推進、営業体制の効率化、本社機能の集約、システム統合といった課題解決を進めた。最終的に2019年1月、三井住友ファイナンス&リースとSMFLキャピタルが合併し、国内事業の一層の強化を図ることとした。