(2)安定的な外貨調達基盤の強化

三井住友銀行における海外ビジネス拡大に伴う重要な課題の一つが貸出など外貨建資産の増加に見合った外貨の調達であった。外貨調達手段には、外貨建顧客性預金(外貨預金)、CD(譲渡性預金)・CP(コマーシャル・ペーパー)、外貨建社債、円投(注37)など様々な方法がある。国際部門は、市場営業部門と連携して外貨建の資産と調達を総合的にコントロールしつつ、外貨預金の獲得・積み上げに注力した(注38)。国際部門独自のKPI(Key Performance Indicator:成果指標)に預金残高など預金関連の指標を設定し、積極的に預金獲得を推進したほか、ホールセール部門やリテール部門、およびグループ会社との連携による外貨預金獲得も強化した。

2015年11月には、SMBC信託銀行がシティバンク銀行のリテールバンク事業を統合した。グループとしての業容拡充のみならず、シティバンク銀行のリテールバンク事業が有する約1兆円相当の外貨預金の獲得も統合の目的の一つであった。外貨取引に強みを持つSMBC信託銀行では、その後も、多通貨Visaデビット一体型キャッシュカード「GLOBAL PASS」の取扱いを開始(2019年10月)するなど、外貨預金増強に資する商品・サービスを拡充している。

一方、外貨調達に際しては、流動性リスクコントロールの観点から、預金と中長期市場性調達とのバランスを管理しつつ、安定的な調達を行う必要もある。2016年4月には、三井住友銀行国際統括部内にグローバルポートフォリオ戦略企画室を設置し、同室がリスクアペタイト・フレームワーク(RAF)(注39)を活用して、各種リスク、環境変化、採算性等を総合的に勘案しながら、機動的かつ一元的に外貨ポートフォリオ管理を行う体制とした。

海外ビジネスの拡充には安定的な外貨調達が不可欠であるが、こうした取り組みを継続した結果、2018年度には預金が2,000億ドルに達し、預金カバー率(貸出金に対する預金の比率)は90%を超えた。

図表7-6 2016年度以降は、海外貸出残高の9割前後を預金でカバーしている。
(図表7-6)海外貸出残高・外貨建顧客性預金の推移