6.「人生100年時代」への対応
わが国の高齢化社会の進展を受け、政府が人生100年時代を見据えた社会経済のあり方について検討する「人生100年時代構想会議」を2017年9月に立ち上げたことから、「人生100年時代」という言葉が新聞や雑誌等で散見されるようになった。SMBCグループも、「人生100年時代」における生き方についての啓発活動を行うとともに、長生きへの備えとなるような商品・サービスの提供を行うなど、お客さまの豊かな人生のサポートに努めている。
たとえば、三井住友銀行・SMBC信託銀行・SMBC日興証券主催(共催:日本経済新聞社)で「人生100年時代FORUM」を開催している。2018年度開催時はモーニングスター主催の下、SMBCグループ3社は「協力」という形で参加したが、2019年度からは3社が主催し、生命保険会社や運用会社など約30社協賛の下、東京および大阪で、投資・健康・くらし等をテーマにしたコンテンツを、セミナーや展示ブースにより展開した。2020年度は、新型コロナウイルス感染症の流行に配慮し、業界に先んじて大規模なオンラインイベントとして開催し、リアルな会場での参加が難しかった全国のお客さまの参加を実現した。

情報提供以外にも、金融商品・サービスによる「長生きへの備え方」として、「運用」「年金」「保障」など様々な商品ラインアップを拡充した。
たとえば、三井住友銀行・SMBC信託銀行・SMBC日興証券の3社は、トンチン性(注29)を活かした個人年金保険「一生涯受け取れる 人生応援年金」(注30)の取扱いを開始。このほか取扱会社はまちまちながら、ライフステージに応じて運用しながら定期的にお金を受け取れる投資信託「ライフ・ジャーニー」(注31)(愛称:最高の人生の描き方)、介護状態になった時にも保険金が支払われる一時払い終身保険「悠々介護終身US」(注32)などの商品の取扱いを、2018年以降に開始した。
またSMBCグループでは、運用や保険関連商品の拡充にとどまることなく、高齢社会における高齢者本人とその子ども世代の多様なニーズに応えるべく、図表5-14のようなサービスを提供している。
さらに三井住友銀行は、2021年4月より新サービス「SMBCエルダープログラム」の取扱いを開始した。同サービスは、専任のエルダーコンシェルジュがお客さま一人ひとりの生活に寄り添い、個人のお客さまの多様なライフスタイルに応じた長寿人生をサポートするために、これまでの金融機能に加え、非金融サービスも含めて提供するサービスである。銀行サービスとしては、お客さまが任意で特約付加できる資産承継特約(注33)に加えて、遺言信託・貸金庫・リバースモーゲージ型住宅ローンなどの商品・サービスの手数料を割引または無料等で提供する。非金融サービスとしては、各社との提携により、医療・健康相談や水まわり・鍵トラブル等の駆け付け出張サービスの提供、介護施設や家事代行・ホームセキュリティ等の紹介などを行う。三井住友銀行は、「SMBCエルダープログラム」を軸に、人生100年時代を支えるトータルソリューションプロバイダーとして新たなビジネス領域へと踏み出した。

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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに