(3)クレジットフォーカス"Next Stage"

強みを発揮するプロダクトのうち、航空機関連ビジネス、サブスクリプションファイナンス、ミドルLBOファイナンス(注16)などは、当社の「クレジットフォーカス戦略」の対象であり、2017年度よりスタートした中期経営計画においても、引き続き強化する方針とした。

航空機ファイナンス・リース事業(注17)については、三井住友銀行、三井住友ファイナンス&リース、およびSMBC Aviation Capitalの3社がシナジー効果を発揮しながらビジネスの拡大を進めた。三井住友銀行は2016年4月、航空機と船舶関連事業を統合して「航空機・船舶ファイナンス営業部(注18)」とした。航空機関連ビジネスと船舶関連ビジネスの一体運営態勢を強化するため、グローバル一体運営ならびにO&Dを強化することなどが狙いであった。三井住友ファイナンス&リースでも、2017年4月に航空機リースに対するニーズへの対応力、および顧客サービスを一層強化するため、航空機営業部内に航空機マーケティング室を設置した。2018年4月には航空・船舶ビジネスを推進するため、航空船舶事業本部(注19)を設置し、その統括機能を航空船舶統括部(現トランスポーテーション統括部)が担うこととした。

2020年以降、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大によって、一時は、世界の航空機の8割から9割が地上待機となる影響を受け、航空機リース料の繰り延べや引き下げの要求が増加した。しかし、SMBC Aviation Capitalは優良エアラインとのセール&リースバック(注20)に継続的に注力するとともに、市況に合わせて機材の売却を推進したほか、需要の強いナローボディ(通路が一つの小型機)かつ平均機齢が若い機体が保有機体の中心であったため、リース料の減額に伴う機体価格の下落が限定的だった。その結果、2020年度決算におけるSMBC Aviation Capitalの当期純利益は前年度比大幅減益となったものの、黒字を維持することができた(注21)

サブスクリプションファイナンスは、不動産など様々な資産に投資するファンド宛のつなぎ資金ファイナンスである。ファンドによる資産取得を資金使途とし、当該ファンドの投資家からの出資、投資資産売却またはリファイナンスを返済原資としており、投資家の出資コミットメントにより保全される(与信判断は主として投資家の信用力に基づく)。2017年4月に米州営業第五部に「サブスクリプションファイナンス室」を新設し、業務拡大に伴う管理強化を図った。ファンドの投資活動が活発ななか、欧州やアジアにおいてもサブスクリプションファイナンスが広がりつつあり、三井住友銀行でもグローバルな取り組みを強化している。

図表7-5
(図表7-5)サブスクリプションファイナンス のスキーム

これらのプロダクトについては、良好なクレジット環境や市況を機敏に捉え、航空機ファイナンスやLBOアセットなどの投資家向け売却を強化するとともに、ディストリビュートチャネルを多様化した結果、O&Dの取組額の増加にも寄与した。