(コラム)

Bank BTPNの沿革

Bank BTPNは1958年、インドネシアの退役軍人の年金取扱銀行Bank Pegawai Pensiunan Militer(BAPEMIL)として設立された。その設立経緯から、退役軍人向けの預金およびローンを主要な業務として発展し、1960年に商業銀行へ業態転換。1985年に設立されたBank Tabungan Pensiunan Nasional(BTPN:バンク・タブンガン・ペンシウナン・ナショナル)へ、1986年にBAPEMILから事業譲渡がなされた。

(写真)Bank BTPNの前身にあたるBAPEMILの設立当時の本社ビル
設立当時のBAPEMIL本社ビル

2002年、アジア通貨危機後、経営が悪化していた同行のリストラ立て直しのため、政府により株式の28.39%が保有されたが、2008年3月、経営状態の改善に伴い政府保有の全株式が市場放出され、インドネシア証券取引所に上場した。その直後、TPG Nusantara(米国投資ファンドTexas Pacific GroupとインドネシアのPEファンドNorthstarの合弁会社)が、既存株主であった他のPEファンドなどから株式を取得して経営権を握った(出資比率71.61%)。2008年から2014年にかけて、小規模・零細企業ビジネス、個人富裕層向けビジネス、イスラム金融(注13)、中小企業ビジネスに参入し、業容を拡大した。また、2011年にはマス層の啓発プログラムとして「Daya」と呼ばれる取り組みをスタート。マス層のお客さまが自立して持続可能で健全な事業・生活を営めるよう、金融教育や就業支援等を実施するもので、Bank BTPNの事業の重要な一部となった。

2013年5月、三井住友銀行がTPG Nusantaraほかから株式24.26%を取得し、持分法適用会社とした。2014年3月には、BTPNの株式15.74%を追加取得し、出資比率を40%に引き上げた。

BTPNは2019年2月にホールセールビジネスに強みを有する三井住友銀行の現地法人、インドネシア三井住友銀行と合併し、三井住友銀行の連結子会社となった。新銀行の商号は従前の「PT Bank Tabungan Pensiunan Nasional Tbk」から「PT Bank BTPN Tbk(Bank BTPN)」へ改称した。Bank BTPNの2020年度末の総資産残高は約1兆3,000億円、従業員数はBank BTPNの子会社であるバンクBTPNシャリアを含め、約1万9,000人となった。

(写真)2016年に竣工したBank BTPNのインドネシア・ジャカルタの本社ビル
Bank BTPNの本社ビル(手前中央、2016年竣工)