(3)不動産ビジネスの拡大
2013年10月に買収したソシエテジェネラル信託銀行は、不動産関連業務のうち不動産仲介業務しか行っておらず、その事業規模もあまり大きくなかった。SMBCグループのお客さまの多様なニーズに応えていくためには、業務範囲の拡大や人員増強など体制を構築していくことが課題であった。
まず2013年11月に、法人の大口不動産仲介案件に限定して、三井住友銀行からのお客さま紹介業務を開始した。2014年4月には不動産コンサルティング営業部と不動産審査部を設置し、不動産市場調査や不動産デューデリジェンスなどを行う不動産コンサルティング業務を開始。2014年5月には、三井住友銀行において、SMBC信託銀行の不動産デューデリジェンス業務を活用した総合提案を開始した。その後も、不動産受託ビジネス(2015年4月)、不動産鑑定ビジネス(2016年4月)、不動産アセットマネジメント(2017年2月)を取り扱うなど業務範囲を拡大していった。
その間、三井住友銀行からの出向者受け入れや外部採用などにより人員も拡充。2016年4月には、当社グループの親密不動産4社(京阪神興業、泉友総合不動産、室町不動産、陽栄)が不動産売買仲介・不動産鑑定業務を縮小・撤退したことを受けて、4社の人員を受け入れた。その後も人員を増強し、体制を整備していった。
SMBC信託銀行は、各種ビジネスの拡大に伴う大口信用供与規制対応やコア資本比率維持の観点から、三井住友銀行宛てに計4回2,088億円の第三者割当増資を実施した。また、のれん代の償却やシステム投資等により赤字が続いていた業務純益については、営業努力やコスト構造改革が奏功し、2019年度に黒字化を達成(注17)。これは、中期経営計画で2020年度と見込んでいた黒字化計画を1年前倒ししての達成であった。2020年度にスタートした新たな中期経営計画では、「移行ステージ」から「成長ステージ」へと変わったとして、さらなる成長・発展を目指している。
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第1章不確実性が増す外部環境
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第2章新たなガバナンスの下でのグループ・グローバル経営の強化
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第3章「カラを、破ろう。」
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第4章「お客さま本位の業務運営」の徹底
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第5章リテール金融ビジネスにおけるビジネスモデルの変革
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第6章ホールセールビジネスにおける真のソリューションプロバイダーを目指して
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第7章グローバル・プレーヤーとしての進化
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第8章高まる不透明感の下での市場ビジネスの進化
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第9章アセットマネジメントビジネスの強化
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第10章デジタル戦略の本格展開
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第11章G-SIBsとしての内部管理態勢の確立
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第12章業務インフラの高度化
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第13章グループ経営を支える人事戦略
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第14章持続可能な社会の実現に向けた取り組み
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第15章「コロナ危機」への対応
- おわりに